Cookie(クッキー)規制がマーケティングに与える影響と対策

Cookie(クッキー)規制によってGoogleが段階的に3rd Party Cookie(サードパーティクッキー)を規制する方針であることをご存知でしょうか。これによって3rd Party Cookieの使用が制限されて、広告業界に影響が出ることが懸念されています。
そもそも、Cookieは発行元の違いによって以下の通り「1st Party Cookie」と「3rd Party Cookie」に分けられます。
- ・1st Party Cookie:ユーザーが訪問したWebサイトのドメインが発行するCookie
- ・3rd Party Cookie:ユーザーが訪問したWebサイトとは異なるドメインから発行されるCookie
3rd Party Cookieの使用が規制されるとユーザー分析がしづらくなることから、マーケティング手法の変更も余儀なくされてしまうのです。そこで本記事ではCookie規制の影響と代替案を紹介します。
<目次>
・Cookie規制が広告業界に与える影響
・Cookie規制の影響を受けるマーケティング戦略
・新たな技術とツールでCookie規制を乗り越える方法
・個人情報保護を徹底しながら、広告効果測定・ターゲット分析ができるドコモ データクリーンルーム
・3rd Partyデータを利用せずに見込み顧客の掘り起こしができるdi-SCHOP®(ディーアイスコップ)
・最後に
Cookie規制が広告業界に与える影響
まずは、3rd Party Cookie規制の背景やそれによる広告ターゲティングへの影響について解説します。Google社は、2024年7月22日に3rd Party Cookieを廃止する方針の代わりに、Chrome に新しい機能を導入し、ユーザーがウェブ閲覧全体に適用される情報に基づいた選択を行い、いつでもその選択を変更できるようにすると公表しています。(2025年1月時点の情報を掲載)
3rd Party Cookie規制の背景
3rd Party Cookieの規制が進んでいる背景にはプライバシーの問題があります。前述の通り、3rd Party Cookieはユーザーが訪問したWebサイトとは異なるサイトから発行されるCookieです。つまりユーザーの同意を得ずに利用されるため、プライバシーの侵害につながるとして問題視されているのです。日本よりも先行して、すでに海外では3rd Party Cookieの法規制がなされています。
アメリカのカリフォルニア州では「CCPA=カリフォルニア州消費者プライバシー法」、ヨーロッパでは「GDPR=EU一般データ保護規則」という法律で規制されており、これらの法律は日本でいうところの「改正個人情報保護法」にあたります。このような背景から、日本においても3rd Party Cookieの規制が進められるようになりました。
広告ターゲティングへの影響
3rd Party Cookieが利用できなくなった場合は、ユーザーが訪問しているWebサイト以外はCookieを発行できなくなります。
つまり3rd Party Cookieを発行しユーザーの追跡に利用していた広告配信事業者などは、第三者のWebサイト上のユーザー行動などは一切追跡できなくなります。これによって、広告配信事業者などはユーザーの興味関心ごとなどのデータも取得不能となり、ターゲティングされた広告の配信が困難となってしまうのです。
そして3rd Party Cookie制限後には「ターゲティング精度の低下」「パーソナライズの難しさ」といった問題に直面することは不可避であり、今後これらの問題をどのようにして解決するかが課題となっています。
Cookie規制の影響を受けるマーケティング戦略

ここからは、Cookie規制によって広告主がどのように戦略を立案する必要があるかを解説し、その具体的な戦略の変化や施策についても解説していきます。
1st Partyデータの活用
3rd Party Cookieが制限されたあとの対策として有効なのは「1st Partyデータの活用」です。1st Partyデータとは自社で収集したデータのことです。
1st Partyデータは、収集元がオンライン経由かオフライン経由かどうかは問題ではなく、Webサイト上のデジタルデータから紙媒体を使用したアナログデータまで、自社で収集したものすべてを指します。
1st Partyデータは自社で収集したデータのため信頼性が高い反面、自社でデータを収集しなければならず、各企業のデータの収集力は、今後のマーケティングの方向性や意思決定の質を左右するポイントとなっていくでしょう。
コンテキストターゲティングの台頭
3rd Party Cookieの代替案として注目されているのが、コンテキストターゲティングです。コンテキストとは「ページの文脈」を意味し、ユーザーが現在閲覧しているwebページの内容に沿った内容の広告を表示する手法をコンテキストターゲティングと言います。
コンテキストターゲティングの精度を保つためには、ユーザーがwebページを閲覧している際のリアルタイムの興味関心事項を正確に捉えた広告を表示することが重要です。
そのためには、「適切なキーワード設計」が重要な要素となります。例えば、ユーザーがそのページにどのような検索時のキーワード経由で行き着いたのか、あるいは、ユーザーがwebページを閲覧しているタイミングの心境に刺さりやすい広告に掲載すべきキーワードは何なのか等、キーワードの設計に力を入れましょう。自社の思い込みや勘によるキーワード設計ではなく、しっかりとリサーチしデータにもとづいたキーワード設計が必要なのです。
また、コンテキストターゲティングはAIとも相性がよくAIを利用することでも精度を高められます。AIが自動でユーザーの行動を分析し、最適なポジションにて適切な広告を選択、配信してくれるのです。
コンバージョンAPI(CAPI)の活用
Cookieを使用せずにWebサイト上のコンバージョンを計測する方法として、コンバージョンAPI(CAPI)というものがあります。
コンバージョンAPIとは、Cookieを元にブラウザからコンバージョンデータをMetaなどの広告媒体サーバーに送る従来のやり方ではなく、ブラウザからではなく広告主のサーバーから、広告媒体サーバーへコンバージョンデータを送信する仕組みです。Cookieに依存せずにコンバージョンを計測でき、Cookie規制の影響を回避することができます。
そのため、Cookie規制の影響によるコンバージョンの計測漏れを防ぐことができるというメリットがあります。一方で、導入方法によってはエンジニアの工数が必要であったり、広告媒体によってはコンバージョンAPIに対応していない媒体もあるため、導入の際は確認が必要です。
新たな技術とツールでCookie規制を乗り越える方法
ここでは、新たな技術とツールでCookie規制を乗り越える方法として、どのような新技術やツールがあるかを紹介します。またCookie規制にどう対応しているかも解説し、その代替え案も紹介します。
データクリーンルーム技術の活用
3rd Party Cookie規制の強化に伴い、パーソナライズされたWeb広告配信や効果測定が難しくなっています。一方で、企業がLTV向上を目的とした顧客接点強化をする上では自社データに加えて他社データ活用の必要性が高まっています。そこで、3rd Party Cookie規制下においても他社データを活用した分析を可能にする手法の一つとしてデータクリーンルームが注目されています。
ドコモ データクリーンルームを利用すれば、自社で収集、保有する1st Partyデータを外部に出すことなく深い顧客分析が可能となります。具体的には、ドコモが保有する1億超のdポイントクラブ会員の属性情報や位置情報などの各種データや、インテージが保有する消費者の購買行動などの各種調査データと掛け合わせた深い顧客分析ができます。
これによって新商品や新サービスの企画・開発、市場における需要予測、キャンペーンの立案など、幅広いマーケティング活動が可能となります。ドコモ データクリーンルームの詳細については、本サイトのこちらのページをご確認ください。
AIと機械学習を活用したターゲティング
3rd Partyデータ規制以降は、AIと機械学習を活用したターゲティングが非常に有効です。例えば、AIや機械学習などで膨大な量の多種多様な個人の購買データを学習させれば、定量的なデータとして蓄積できそのデータをもとに最適なターゲティングが行えるようになります。
またAIにおいては一人ひとりの属性や行動履歴から、適した販促施策を提案してもらうこともできます。さらに簡単な方法では、ChatGPTを活用するだけでターゲットの明確化が行えます。
例えばターゲットの条件を設定し「当該ユーザーのペルソナを設定してください」とプロンプトに入力すれば、ペルソナが設定されて出力されます。そのペルソナが自社のビジネス戦略に最適か否かは別として、3rd Partyデータに頼らずともAIや機械学習などでターゲッティングは行えるのです。
セグメンテーションとインサイト分析の強化
3rd Partyデータが規制され、セグメンテーションや顧客インサイトが強化できない、と悩んでいるマーケティング担当者もいます。ですが、3rd Partyデータに頼らずとも、AIやドコモデータクリーンルームでこれらは簡単に行えます。
例えばAIにおいては、ChatGPT等のサービスを活用するだけで、簡単なセグメンテーションや顧客インサイト分析などは行えます。ですが、ChatGPTで得られる回答情報には、自社のウェブサイトの訪問者のアクセスデータや、商品の購入者やサイトの会員情報など、自社に関係するデータをもとにして回答情報を出してくれるわけではありません。もっと深い分析が必要な場合は、ドコモデータクリーンルームがおすすめです。
個人情報保護を徹底しながら、広告効果測定・ターゲット分析ができるドコモ データクリーンルーム

ドコモ データクリーンルームはCookieレスに対応したデータ活用を推しており、企業が保有する顧客情報を開示することなくドコモ、インテージが保有する1億以上のdポイントクラブ会員のデータや購買行動情報等の各種データとセキュアかつプライバシーに配慮した形で突合・分析できるクラウド環境です。この仕組みにより、個人情報保護を徹底しながら、広告効果測定、ターゲット分析など、幅広い分析が可能になります。
プライバシー保護とデータ活用
ドコモ データクリーンルームは、個人情報を適切に保護しながら、ドコモが保有する1億を超えるdポイントクラブ会員の属性情報や位置情報などの各種データに加え、インテージが保有する消費者の購買行動分析に強みを持つ各種データを活用した詳細な顧客分析が可能なサービスです。
dポイントクラブ会員とインテージが保有するデータは、個人を特定できない形に加工されたデータのみを使用し、位置情報や購買履歴などの行動データは、統計的に処理され、個人の特定につながる情報は完全に排除されます。さらに、受付けるクエリのポリシーも厳密に管理され、分析結果も統計値としてのみ出力されます。このように、高度なセキュリティと匿名化技術により、企業は安心して詳細な顧客分析に取り組むことが可能です。
精度の高い顧客セグメンテーション
ドコモ データクリーンルームの活用で、従来よりも精緻な顧客セグメンテーションが可能になります。携帯電話の測位情報、アプリ・サービスの使用傾向、アンケート回答など、多角的なデータから推定された趣味嗜好などのセグメントと組み合わせた分析により、自社データだけでは補足の難しい顧客の行動パターンや生活習慣を把握することができます。
たとえば、顧客がよく滞在する場所や、休日の過ごし方、よく利用するサービスなどから、ライフスタイルの特徴が抽出可能です。これにより、実態に沿った顧客セグメントの把握が可能になります。
顧客属性に合わせたマーケティング戦略
ドコモ データクリーンルームで得られた顧客インサイトは、効果的なマーケティング戦略の立案に活用できます。各顧客セグメントの行動特性や価値観を踏まえ、最適な方法でのアプローチが可能です。また、施設訪問や購買データと組み合わせることで広告反応に留まらず施策後の行動変容まで含めた分析を可能にします。
たとえば、特定の地域での生活パターンに合わせた情報配信や、顧客の興味関心に沿ったコンテンツの提案など、きめ細かなコミュニケーションが設計できます。また、施策の効果測定も細かく行うことができ、継続的な改善を繰り返し、顧客一人一人に寄り添った、より効果的なマーケティング活動が展開できます。
ドコモ データクリーンルームの詳細については、こちらのページをご確認ください。
3rd Partyデータを利用せずに見込み顧客の掘り起こしができるdi-SCHOP®(ディーアイスコップ)

3rd Party Cookieの規制が強化されている動きを踏まえた代替え案としてdi-SCHOP® (ディーアイスコップ)を利用して新しいターゲティング手法として強化するのがおすすめです。以下ではdi-SCHOP®とはどのようなものかを説明し、特徴やメリットなどについて解説します。
di-SCHOP®で新しいターゲティングを強化
di-SCHOP®はドコモ・インサイトマーケティングが長期にわたって蓄積してきたおよそ1億会員を超えるdポイントクラブ会員が基盤となっています。この会員の中から設定したセグメントに対してアンケート型プロモーションを実施し、自社に最適な見込み顧客を掘り起こしていくのです。
こうすることで、自社の商品やサービスに理解を深めた会員が見込み顧客となります。こういったいわゆる「ホットリード=今すぐ客」を簡単に掘り起こすことができるうえ、その見込み顧客の送客も保証されています。3rd Partyデータを利用せずとも、こういったサービスを利用することで見込み顧客を掘り起こすことが可能になります。
di-SCHOP®の特徴とメリット
di-SCHOP®ではドコモ・インサイトマーケティングが保有するdポイントクラブ会員の属性データを利用できるため、ターゲティング精度は非常に高いことがメリットと言えます。di-SCHOP®が実施するプロモーションにより非常にポテンシャルの高い顧客のデータベースが出来上がるのです。
このような特徴から、自社の商品やサービスに関して効果的なアプローチが可能となります。また、顧客データは一過性のものではなくデータベースとして蓄積されていきます。
つまり、継続利用すればするほどに顧客データは蓄積されていき、より詳細な分析や調査、そしてターゲティングができるようになるのです。これらデータを活用して広告配信などにも役立てることができます。
例えば、インプレッションはあるがCVにつながらないといった場合でも、di-SCHOP®の分析結果から理由がおのずと理解できるようになり、クリック率の改善につなげられるようになります。
アンケート型プロモーションの利点
di-SCHOP®はアンケート型プロモーションで見込み顧客を掘り起こしていきます。アンケート型プロモーションとは、ユーザーへのアンケート実施によって商品やサービスの認知拡大や訴求を行い、販促につなげるマーケティング手法です。
アンケート形式でユーザーが能動的に関われるため、商品理解を深めた上でキャンペーン等の訴求を行う事ができるフォーマットとなっております。
「di-SCHOP®」の詳細については、本サイトのこちらのページをご確認ください。
最後に
最後までご覧いただきありがとうございました。
弊社ドコモ・インサイトマーケティングは、NTTドコモの会員基盤や位置情報、インテージのリサーチ・データ分析のノウハウを融合し、顧客理解・可視化からプロモーションまでトータルで支援し、貴社の課題に合ったソリューションをご提供します。
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