データクリーンルームとは?DMP・CDPとの違いや事例、仕組みを解説

データクリーンルームは、顧客データを匿名化して安全に分析できるクラウドサービスです。
CDP(Customer Data Platform)、DMP(Data Management Platform)と異なり、企業間でデータを共有しながらプライバシーを守り、広告や顧客分析に役立てられます。
この記事では、データクリーンルームの詳細や活用方法を解説していきます。
<目次>
・データクリーンルームとは?
・データクリーンルームが注目されている理由
・CDPやDMPとの違い
・データクリーンルーム導入で得られるメリット
・ドコモ データクリーンルームによる顧客データ分析
・データクリーンルームを活用しよう
データクリーンルームとは?
データクリーンルームとは、企業が保有する顧客情報(会員情報、購買履歴など)を匿名化・非識別化し、厳格なアクセス制御下で共有・分析するクラウド環境です。
この仕組みは個人情報保護を徹底しつつ、広告効果やターゲット分析を含む幅広い分析を可能にします。そのため、データクリーンルームは、安全性と利便性を両立した新しいデータ活用手法です。
データクリーンルームの基本的な仕組み
データクリーンルームの仕組みは、データをアップロードして匿名化することから始まります。
その後、アップロードされたデータは暗号化され、厳格なアクセス制御のもとで安全に保管されます。
利用者は事前設定された権限に基づいてのみアクセス可能です。また、複数企業間で異なるデータセットを掛け合わせることで、相関関係やトレンドを発見できます。
出力データは外部に個人を特定できない形で制御されるため、セキュリティを強化し、法令を遵守した分析が可能です。
データクリーンルームが注目されている理由

企業が自社データだけで顧客全体像を把握するには限界があります。
例えば、購買履歴や行動データだけでは詳細な顧客インサイトを得ることが難しい場合があるでしょう。その際、データクリーンルームを活用し、他社やプラットフォーマーのデータを安全に統合することで、より広範囲で精度の高い分析が可能になります。
また、プライバシー規制への対応としても有効で、個人情報を匿名化・非識別化しながら活用できる点が強みです。
この仕組みにより、マーケティング戦略の高度化や顧客体験の向上を支援するなど、データ活用の新しい可能性を提供します。
3rd Party Cookie(サードパーティクッキー)の廃止による影響
近年、プライバシー保護規制の強化や消費者意識の高まりにより、3rd Party Cookieの規制の強化が進んでいます。
これにより、リターゲティング広告が制限され、ドメイン間のデータ活用が難しくなりました。その結果、広告効果測定や配信頻度の調整が困難になり、広告主は新しい手法を模索する必要があります。
データクリーンルームはこうした課題を解決するために注目されています。個人情報を匿名化することで、法令を遵守しつつデータを活用可能です。
さらに、複数企業間でデータを安全に共有しながら、広告効果分析や顧客ターゲティングを実現する環境を提供します。
Cookieに依存しないデータ活用手段として注目されています。
CDPやDMPとの違い
データクリーンルーム(DCR)、CDP(Customer Data Platform)、DMP(Data Management Platform)はそれぞれ異なる用途を持つデータ管理・分析ツールです。
データクリーンルーム | CDP(Customer Data Platform) | DMP(Data Management Platform) | |
データの共有と分析 | 複数企業間での安全なデータ統合と分析 | 主に自社の顧客データを統合・管理 | 広告配信のためのデータ管理に特化 |
プライバシー保護 | 個人情報を匿名化・非識別化し、厳格なアクセス制御を実施 | 自社データ(1st partyデータ)を扱う | 主に匿名化された3rd partyデータを扱う |
利用目的 | 自社データ以外も活用して顧客全体像の把握や分析に焦点 | 顧客理解や1to1マーケティング | 広告配信の最適化 |
分析の単位 | 匿名化データで個人レベル・集団レベルの分析が可能 | 個人単位の分析 | 属性単位の分析 |
CDPは、自社データを基に個別の顧客理解や1to1マーケティングに役立ちます。その一方で、DMPは広告配信の最適化に特化し、ターゲティング精度を高めます。データクリーンルームはこれらと連携しながら、複数企業間での安全なデータ共有を実現してくれるのです。
データクリーンルーム導入で得られるメリット

データクリーンルームを導入することで、以下の3つのメリットが得られます。
メリット①:プライバシーに配慮したセキュアな分析環境を構築できる
データは匿名化や非識別化され、さらに暗号化されて安全にやり取りされます。
その上で、掛け合わせるデータは外部に提供されることなく、プライバシーに配慮したセキュアな分析環境が構築できます。
メリット②:3rd Party Cookieに依存しない
3rd Party Cookieの規制の強化により、従来のデータ活用方法が難しくなっていますが、データクリーンルームを活用すれば、自社データを安全に利用可能です。
また、他社データと掛け合わせることで、Cookieに頼らないターゲティングや広告効果測定を実現できます。これにより、デジタルマーケティングの成果を維持しながらプライバシー規制も遵守できます。
メリット③:大規模なデータ分析が可能
データクリーンルームでは、自社データに加えて、他社や大手プラットフォーマーのデータを活用することが可能です。
これにより、大規模かつ精密なデータ分析が可能になり、ターゲティング精度が向上します。また、クラウド環境で提供されることが多く、拡張性が高く、大規模なデータ分析を効率的に実行可能です。
ドコモ データクリーンルームによる顧客データ分析

「ドコモ データクリーンルーム」では、自社データを外部に提供することなく、ドコモやインテージが保有する膨大なデータと安全に組み合わせて分析できます。
これにより、個人情報を保護しながら顧客分析や広告効果測定を効率的に実施可能な企業がデータの価値を最大化し、顧客理解を深めるためのツールです。
プライバシー保護とデータ活用
ドコモ データクリーンルームは、個人情報を適切に保護しながら、ドコモが保有する1億を超えるdポイントクラブ会員の属性情報や位置情報などの各種データに加え、インテージが保有する消費者の購買行動分析に強みを持つ各種データを活用した詳細な顧客分析が可能なサービスです。
dポイントクラブ会員とインテージが保有するデータは、個人を特定できない形に加工されたデータのみを使用し、位置情報や購買履歴などの行動データは、統計的に処理され、個人の特定につながる情報は完全に排除されます。さらに、受付けるクエリのポリシーも厳密に管理され、分析結果も統計値としてのみ出力されます。このように、高度なセキュリティと匿名化技術により、企業は安心して詳細な顧客分析に取り組むことが可能です。
精度の高い顧客セグメンテーション
ドコモ データクリーンルームの活用で、従来よりも精緻な顧客セグメンテーションが可能になります。携帯電話の測位情報、アプリ・サービスの使用傾向、アンケート回答など、多角的なデータから推定された趣味嗜好などのセグメントと組み合わせた分析により、自社データだけでは補足の難しい顧客の行動パターンや生活習慣を把握することができます。
たとえば、顧客がよく滞在する場所や、休日の過ごし方、よく利用するサービスなどから、ライフスタイルの特徴が抽出可能です。これにより、実態に沿った顧客セグメントの把握が可能になります。
顧客属性に合わせたマーケティング戦略
ドコモ データクリーンルームで得られた顧客インサイトは、効果的なマーケティング戦略の立案に活用できます。各顧客セグメントの行動特性や価値観を踏まえ、最適な方法でのアプローチが可能です。
また、施設訪問や購買データと掛け合わせることで広告反応に留まらず施策後の行動変容まで含めた分析を可能にします。
たとえば、特定の地域での生活パターンに合わせた情報配信や、顧客の興味関心に沿ったコンテンツの提案など、きめ細かなコミュニケーションが設計できます。また、施策の効果測定も細かく行うことができ、継続的な改善を繰り返し、顧客一人一人に寄り添った、より効果的なマーケティング活動が展開できます。
ドコモ データクリーンルームの詳細については、こちらのページをご確認ください。
データクリーンルームを活用しよう

データクリーンルームは、企業が顧客データを安全に活用しながら、プライバシーを保護できる先進的なツールです。特に、3rd Party Cookieの規制強化やプライバシー規制の強化が進む中で、その重要性が増しています。
この仕組みを導入することで、企業はデータの組み合わせによる顧客分析の精度向上や、広告効果測定の効率化を実現できます。データ活用を次のレベルに進めるには、データクリーンルームの導入が鍵となります。ぜひ検討してください。
最後までご覧いただきありがとうございました。
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