顧客データ分析の手法を解説

最近よく耳にする「顧客データ分析」という言葉。
顧客分析にデータ分析手法をどのように活用すれば良いのか、具体的に知りたい方も多いのではないでしょうか。
そこで本記事では、それらの疑問に対して、まずデータ分析の目的や用途について説明します。さらに具体的な顧客データ分析の方法について、従来から利用されている方法に加えて、最近注目されている手法についても解説していきます。
<目次>
・顧客データ分析とは
・データ分析で顧客理解はどの程度深まるのか?
・顧客データ分析の方法
・ドコモ データクリーンルームによる顧客データ分析
・まとめ
顧客データ分析とは
顧客データ分析とは、文字通り「属性情報」や「購買履歴」などの顧客のデータを分析することです。
顧客データ分析の目的は、お客様に関するあらゆるデータを、マーケティングや心理学などの手法を用いて分析し、自社にとって有用な示唆を得ることにあります。
そのため顧客からの「データ収集」「データ分析」を行うとともにその結果を、今後の「施策実行」に活かすことが大切です。
データ分析と顧客データ分析の違い
データ分析という言葉もありますが、顧客データ分析とはどのように違うのでしょうか。
データ分析とは、収集したデータの整理、加工、抽出など段階を経て分析するプロセスです。データ分析では、顧客以外のデータも含めてたくさんのデータ化された情報を扱います。
たとえば生産工程や研究開発段階でも、処理時間や不良品数、生産量などのデータや、材料特性、製品性能、物質の反応速度などのデータなどのいろいろな情報があり、それらのデータを分析しておくと、将来お客様にフィットする新しい商品やサービスが開発できるかもしれません。
これに対して、顧客データ分析では、自社が保有する顧客の「属性情報」や「購買履歴」、「お問い合わせ履歴」や「アンケートの回答結果」、「アプリやWebサイトの利用状況」など、顧客に関するデータを分析します。
あくまで顧客をより深く、そして正しく理解するために行うプロセスです。顧客の属性データを総合的に分析することで、自社にとって有用なデータを得ることができます。
顧客データ分析のユースケース
顧客データ分析には、マーケティング、営業部門、カスタマーサポート部門、商品企画などさまざまな用途があります。各部門での、顧客データ分析の一例をご紹介します。
マーケティング部門での用途は、顧客データ分析の主眼です。例えば、分析の結果、若者・中年層より老年層の方が消費金額が大きいなどの結果がわかると、マーケティングにおけるターゲットを絞り込みやすくなります。
また、営業部門では、例えば顧客一人ひとりの過去の購入履歴や問い合わせ履歴などの顧客データを活用することで、その顧客に最適な商品やサービスの提案をすることができます。
カスタマーサポート部門では、例えば顧客からの問い合わせ内容やクレームのデータを分析することで、どのような点が顧客に不満に思われているかを把握することができます。特定の商品の返品率が高い場合は、その商品の品質の見直しを行うなどの改善につなげられます。
さらに商品企画では、顧客データを分析して顧客のニーズを把握することにより、自社ブランドの新商品についての企画案やデザイン案を考える際の示唆を得ることができます。
顧客データ分析に必要なデータと取得方法
顧客データ分析において、どのような手法が利用されているのでしょうか。ここでは必要なデータと習得方法を紹介します。
たとえば営業部門での「顧客導線分析」では、カメラなどで入店時の行動を分析し、入店後の顧客の導線をデータとして収集することで、最適な店舗内の導線を定めることができます。
カスタマーサポート部門では、コールセンターへの顧客からの電話を録音したり、問い合わせフォームからの問い合わせ内容をデータとして収集することで、自社サービスの改善点を分析します。
商品企画部門においては、顧客データをたとえばCTB分析により、カテゴリ(C:商品の種類など)、テイスト(T:色やサイズなど)、ブランド(B:自社のブランドなど)をもとにグループ化します。これを利用して解析すれば、自社のブランドにもっともあった商品やそのデザインなどを判断することができます。
データ分析で顧客理解はどの程度深まるのか?

顧客データ分析を行うことで、お客様すなわち、顧客理解がどの程度深まるのでしょうか。
定量データは、顧客全体の傾向などを分析する際に役立ちます。一方で顧客個々の心理など、全体のデータの傾向として顕在化しづらい行動や購買動向などは顧客アンケートやインタビューなどで得た定性データを分析することが重要です。
例えば、顧客アンケートやインタビューで、顧客が商品やサービスを選んだ際の具体的なエピソードや、商品やサービスを利用する際に困った際の具体的なエピソードを聞き出すことができれば、製品の魅力や問題点などの、データだけでは数値化しにくい情報も収集することができます。
このように、すぐ理解できる範囲と理解できにくい範囲があり、定性、定量それぞれのデータ分析をあわせて利用することが大切です。
例えば、ある新聞の定期購読の解約理由のアンケート結果(定量データ)として「購読料が高いから」という選択肢の回答割合が高かったとします。そして、「購読料が高いから」と回答した顧客にインタビューを実施すると、購読料が高いと感じたタイミングの直前に「子どもが進学したことで教育費がよりかかるようになり、家計の見直しが生じていた」、また「そのさらに数ヶ月前に転職をしていた」という定性データが得られたとします。
これらの、定性、定量それぞれのデータ分析をあわせて利用することで、「購読料が高い」という解約理由の背景に、「転職の際に新しい仕事に合わせた新聞の読み方がわからなくなり、子どもの進学時の家計の見直しで、購読料が高いと感じるようになった」という解約の流れが見えてきます。
このような解約理由の背景に辿り着ければ、有効な施策を立案できるかもしれません。
顧客データ分析の方法
顧客データ分析の方法にはどのようなものがあるでしょうか。ここでは実際に利用しやすく、効果の高い5つの方法を紹介します。
■ データクリーンルーム
データクリーンルーム(Data Clean Room)とは、企業が保有する顧客情報(会員情報、購買履歴、行動ログ)をプライバシーに配慮をした安全なクラウド環境で取り扱うことをいいます。これにより、広告効果分析やターゲット分析、オンオフ統合分析などが可能となります。
顧客管理においても、ユーザーへのプライバシー配慮や個人情報保護法への対応が強く求められる時代です。クッキーレスがあと押しになり、従来から実施されているデジタルマーケティングのパフォーマンスが危惧されています。
分析のための不足するデータを補いながら、データの質と量が担保された分析環境としても、注目がされています。 データクリーンルーム(Data Clean Room)の具体的なサービスは次の章でもご説明いたします。
■ セグメンテーション分析
セグメンテーション分析とは、顧客を属性によって細分化し、グループ分けする手法です。ニーズが多様化したことなどを背景に重視されるようになり、心理学やマーケティング分野などでよく利用される解析方法となります。
さまざまな分析項目(購買履歴や顧客満足度など、お客様から得られる情報)を用いて、顧客層をセグメント毎に分析・解析することができます。セグメントとよばれる、各グループに対してより効果的なマーケティング戦略を立てるのに使用します。
セグメンテーション分析では、セグメントを細かく分け過ぎないようにすることが大切で、この部分に自社の工夫が要ります。
■ コホート分析
コホート分析とは、対象者をコホート(属性ごとのグループ)にしたがってグループ分けし、それぞれの意識や行動、消費の動向を分析することです。こちらも心理学などで使用される分析手法となります。
セグメンテーション分析を、さらに進めた分析手法ともいえ、同じ特徴を持つグループ内での購買に関連する属性を分類して解析することができます。
よくある例としては、高齢者や若者層などの層別で、自社商品の購買行動が違うなどを把握することができます。たとえば自動車会社では、若者層と中年以降などでは、売れ筋の自動車が違うなどの例があります。
コホートとはもともと人口学分野の用語でもあり、ある一定の期間内に出生した人の集団を意味しています。このため同時期に同様の体験をしているため、成人後も価値観など共通の意識を指し示すことが多くなっています。
■ CTB分析
CTB分析の目標は、それぞれの顧客に合った商品やサービスを提供することです。
CTB分析とは、カテゴリ(商品の種類など)、テイスト(色やサイズなど)、ブランド(自社のブランドなど)の3つの指標をもとにグループ化する分析手法です。このため自社のブランドにもっともあった商品やそのデザインなどを判断することができます。
CTB分析により、顧客グループ毎でよく購入する商品やサービス、逆に、あまり購入しない商品やサービスなどを知ることが可能です。このため、買いやすい仕組みに改善すれば、さらなる売上アップも期待できます。
■ フォーカスグループインタビュー
フォーカスグループインタビューとは、異なる属性の少人数グループを複数作成し、座談会形式でインタビューを実施する定性的な分析手法です。
主に「商品・サービスの評価」「消費者のニーズ把握」「新商品コンセプトに対する想定ユーザーの評価」など、自社がお客様の消費心理を掴む目的で実施されます。
顧客をいくつかのグループに分けて、商品に関する素直な意見や自身にとっての購買意欲の程度などを、インタビューして収集し分析するものです。定量的な手法は使えないので、収集した意見を分析するための心理学などの専門的知識を保有していることが大切です。
ドコモ データクリーンルームによる顧客データ分析

ドコモ データクリーンルームでは、自社データを外部に提供することなく、ドコモやインテージが保有する膨大なデータと安全に組み合わせて分析できます。
これにより、ドコモ データクリーンルームは、個人情報を適切に保護しながら、ドコモが保有する1億を超えるdポイントクラブ会員の属性情報や位置情報などの各種データに加え、インテージが保有する消費者の購買行動分析に強みを持つ各種データを活用した詳細な顧客分析が可能なサービスです。
dポイントクラブ会員とインテージが保有するデータは、個人を特定できない形に加工されたデータのみを使用し、位置情報や購買履歴などの行動データは、統計的に処理され、個人の特定につながる情報は完全に排除されます。
さらに、受付けるクエリのポリシーも厳密に管理され、分析結果も統計値としてのみ出力されます。このように、高度なセキュリティと匿名化技術により、企業は安心して詳細な顧客分析に取り組むことが可能です。
個人情報を保護しながら顧客分析や広告効果測定を効率的に実施可能な、企業がデータの価値を最大化し、顧客理解を深めるためのツールです。
プライバシーを保護した上で豊富な顧客データを活用できる
ドコモ データクリーンルームは、個人情報を適切に保護しながら、ドコモが保有する1億を超えるdポイントクラブ会員の属性情報や位置情報などの各種データに加え、インテージが保有する消費者の購買行動分析に強みを持つ各種データを活用した詳細な顧客分析が可能なサービスです。
dポイントクラブ会員とインテージが保有するデータは、個人を特定できない形に加工されたデータのみを使用し、位置情報や購買履歴などの行動データは、統計的に処理され、個人の特定につながる情報は完全に排除されます。
さらに、受付けるクエリのポリシーも厳密に管理され、分析結果も統計値としてのみ出力されます。
このように、高度なセキュリティと匿名化技術により、企業は安心して詳細な顧客分析に取り組むことが可能です。
精度の高い顧客セグメンテーション
ドコモ データクリーンルームの活用で、従来よりも精緻な顧客セグメンテーションが可能になります。
携帯電話の測位情報、アプリ・サービスの使用傾向、アンケート回答など、多角的なデータから推定された趣味嗜好などのセグメントと組み合わせた分析により、自社データだけでは補足の難しい顧客の行動パターンや生活習慣を把握することができます。
たとえば、顧客がよく滞在する場所や、休日の過ごし方、よく利用するサービスなどから、ライフスタイルの特徴が抽出可能です。これにより、実態に沿った顧客セグメントの把握が可能になります。
顧客属性に合わせたマーケティング戦略
ドコモ データクリーンルームで得られた顧客インサイトは、効果的なマーケティング戦略の立案に活用できます。各顧客セグメントの行動特性や価値観を踏まえ、最適な方法でのアプローチが可能です。
また、施設訪問や購買データと組み合わせることで広告反応に留まらず施策後の行動変容まで含めた分析を可能にします。
たとえば、特定の地域での生活パターンに合わせた情報配信や、顧客の興味関心に沿ったコンテンツの提案など、きめ細かなコミュニケーションが設計できます。
また、施策の効果測定も細かく行うことができ、継続的な改善を繰り返し、顧客一人一人に寄り添った、より効果的なマーケティング活動が展開できます。
ドコモ データクリーンルームの詳細については、こちらのページをご確認ください。
まとめ
最後までご覧いただきありがとうございました。
弊社ドコモ・インサイトマーケティングは、NTTドコモの会員基盤や位置情報、インテージのリサーチ・データ分析のノウハウを融合し、顧客理解・可視化からプロモーションまでトータルで支援し、貴社の課題に合ったソリューションをご提供します。
記事内でご紹介したドコモ データクリーンルームの詳細については、こちらのページをご確認ください。
※当サイト内に掲載されている商品・サービス名称等は、それぞれの会社の商標又は登録商標です。